厳しい現実

>>>>厳しい現実>>>>

 多数の人が最初の数ヶ月は何か勉強したりのんびり休んで、本格的な就職活動はそれからと考えていました。
しかし実際に就職活動に入ってみると、思いもよらぬ厳しい現実を思い知らされました。
 
 ・正社員の募集が意外と少なく、契約社員やアルバイトの募集ばかり。
 ・希望の職種がほとんどない。今までの経験を生かしてさらに飛躍しようなんて夢のまた夢。
 ・募集の給料はもとの半分。へたをすると三分の一。
 ・たまにいい条件の募集があると年齢制限、あるいは資格、特殊な経験が必要。
 ・通うに遠い人が集まりそうもない人里離れた工場だったり。

それでも何とか自分の希望に少しでも近いところを見つけようとしているうちに、どんどん日が経ってしまいます。
もうすぐ失業保険が切れる。家族は心配する。近所の目も気になり始めます。


>>>>そして一年が経ち>>>>

 一年経った今、再就職を果たした人はまだ6割足らずと聞いています。
その中に本当に、あるいはそこそこ自分の希望をかなえられた人はいったい何人いるでしょう。
 前の会社からは、工程が他地区へ移る話は消えたみたい、新しい事業も入ってきた、当時噂になった工場自体が閉鎖などという可能性はもうないだろう、等々の話が聞こえてきます。ボーナスもしっかり出たそうです。
まさか会社が多くの人に手を上げさせるために話をでっち上げたというわけではないでしょうが、「我々はだまされた!」...そう思うのも無理からぬ話です。


>>>>それでも前へ>>>>

 一部の人からは「ああ、やっぱり辞めなければよかった!」との声も聞かれます。
もしかすると多くの人が口には出さずとも心の隅ではそう思ったかもしれません。
少々妥協すれば何とかなるというならまだ救われますが、現実はさらに厳しいものでした。
でももう後戻りはできません。止まれば飢え死に、判断を誤ったと悔やんでもなんにもなりません。

生き延びたければ、どんなに苦しくとも、前へ進むしかありません。

 ...「9.離れ離れに」 へと続く